本件に取り組むことになった経緯は、知人経由のご紹介。様々な不動産仲介業者に相談したけれども多忙等を理由にこれまで受けてくれるところがなかったとのこと。アポイントを取ってお客様宅に伺い面会。
お客様が問題に感じていることを傾聴(ヒアリング)したところ、購入以来約10年に渡って毎年赤字が発生していて、今後自宅の購入や子供の教育資金でお金がかかるので、将来の不安が大きい。所有し続けた方が良いのか、売却した方が良いのかアドバイスが欲しいとのこと。
今後ますます少子高齢化が進んでいく日本の状況を考えると、現在、市場に溢れているワンルームマンションが将来優良な資産になるとは想定しづらいとParkEstateは考えます。そのためお客様へはご売却のご提案を行い、ご納得頂いたお客様との間に本物件売却の媒介契約を締結しました。
サブリース付1Rマンション投資物件の売却活動が難しい理由
サブリースという賃貸管理委託契約は、2018年に表面化した2つの事件(スルガ銀行が関連したかぼちゃの馬車事件とレオパレス問題)をきっかけに社会問題となったことから悪い印象を持たれている方も多いかと思います。
しかしながら本来、サブリース自体は、サブリース事業者が空室リスクを負いながらオーナーに代わって煩わしい賃貸管理を丸ごと代行してくれる便利な仕組みですので、不動産経営をする際はよく内容を理解して上手に活用したいところ。
本物件における問題は、対象物件が差別化しづらい1Rマンションであることから賃料が低く抑えられてしまう傾向にあること(特に福岡都市圏の賃料相場は他都市と比べて安価な傾向があります)。
これに加えてサブリース事業者に管理手数料を支払う必要があるため投資利回りが自ずと低くなってしまうこと。そのため手放す際も思うような価格で売却出来ない可能性が高いことが挙げられます。
Park Estate/パークエステートが行った売却活動
上記のような理由から、弊社は本物件を預かってすぐには自社サイトや不動産ポータルサイトを用いた広告営業を行いませんでした。
その代わりに本物件のステークホルダー(サブリース事業者や管理会社等)とじっくり時間をかけて交渉を行い、不動産投資家や不動産事業者の方々にとって購入検討の価値がある物件となるように各種賃貸管理条件のブラッシュアップを行いました。
『準備9割、実行1割』という言葉がある通り、準備にはかなりの時間と労力がかかりましたが、満を持して不動産ポータルサイト掲載後は、一転スムーズに購入希望者とのマッチングが成立。結果的に100万円程度の売却益を確保することが出来、お客様とそのご家族にも大変喜んで頂きました。
<注意点>
本件では、物件が比較的築浅で立地が良かったことに加えてステークホルダーとの交渉がスムーズに運んだため、弊社の取り組みが功を奏しました。しかしながら基本的に1Rマンションサブリース投資物件の売却は難しいものとお考え下さい。この事例のようにスムーズに売却が出来るか否かは様々な条件が上手く噛み合う必要があるためです。
【FYI】
<サブリース物件をお持ちの方へ>
賃貸住宅管理業法ポータルサイトのご紹介
国は、2018年頃に一部の不動産業者による杜撰なサブリーススキームが社会問題化したことから、2021年、不動産業者による賃貸住宅管理方法を適正化するために必要な規制を設けた「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(サブリース新法)を公布。本法律は2021年6月に完全施行されました。
それに伴い、国土交通省は『賃貸住宅管理業法ポータルサイト』を開設。本ポータルサイトは、サブリース新法に関連するコンテンツを一通り網羅しており便利なサイトとなっております。サブリース物件をお持ちの方はアクセスしてみては如何でしょうか。
特に賃貸住宅管理業法に規定される「誇大広告等の禁止」、「不当な勧誘等の禁止」、「契約締結前の重要事項説明義務」などに違反したサブリース業者についての情報を国に提供し、適切な措置を求めることができる制度である申出制度は、知っておいて損はないと思います。
なお添付画像はスマホ画面における賃貸住宅管理業法ポータルサイトのスクリーンショットです。矢印の部分をタップして頂くと申出制度の内容を確認することが出来ます。